2022年のベスト50

夏に自律神経失調症を患い、さらに抑うつ症状がひどく出たため心療内科にかかったところ適応障害との診断を受けた。フリーになってからめちゃくちゃな働き方をしていたのでいつかは体を壊すだろうと思っていたが、メンタル面のダメージは自分で思っていたよ…

ダンスはおしまい

いつもなら校了1週間前は土日であろうと取材や入稿やその他もろもろの連絡が重なってくるのだけれど、その日はすべての作業が「待ち」の状態になり、エアポケットのような時間が生まれた。厳密に言えば細かい仕事はまだ残っていたが、今日はもういいやと思…

2021年のあらゆるベスト50

5年間住んだ笹塚のアパートを出て、東京オリンピックからひたすら目を背け、高山一実の乃木坂46卒業に涙した2021年。ライター業と並行して編集業も増え、仕事でもプライベートでも多くの人と関わり、会話を重ねた。 ただ、休みもほとんどない1年間だった。…

71kg

なんとなくしんどい出来事が続くと海を想像する癖があって、それは大学生のころに友人と何度か出かけた江ノ島だったり、子どものころに家族旅行で連れて行ってもらった沖縄のビーチだったり、『ヤンヤン夏の思い出』で主人公のNJが明け方に散歩をする熱海の…

引っ越しをした

引っ越しをするなら2月がいい、と風水にくわしい友達が教えてくれた。なるべく寒い時期に引っ越しをすると運気が上がるのだという。そのときは話半分に聞いていたが、ちょうど更新のタイミングもあったので2月の最後の日に引っ越すことにした。家具と家電…

2020年のあらゆるベスト50

音楽、映画、お笑い、演劇、文芸などあらゆるカルチャーのベスト50です。 50- 浪漫革命『ふれたくて』 浪漫革命『ふれたくて』Official MV あらためて観ると少し懐かしい。6月当時はこういうディストピア的な未来を想像していたが、現実は果たして。いろん…

今日のラッキーカラーは金色

床に山積みになったTシャツやパンツやタオル類をベランダの洗濯機にぜんぶぶち込んでやっとひとつ仕事を片付けた気持ちになる。生活は壊滅的にだめ。誰かを家に招くために掃除をするなんてことをここ2年くらいやっていないので、そこらじゅうに衣類やペット…

2015年の横浜ラプソディ

大学院生の頃、半年ほど横浜のシェアハウスに住んでいた。 港の見える丘公園のすぐ近くの、ベッドルームが3つと共用リビングと風呂がある大きな庭付きの一軒家だった。2階に住んでいるオーナーの男性は横浜のサンバチームの代表で、色黒で屈強な体つきのバ…

午前3時、中野車庫にて

ゴールデンウィークの直前に依頼されていた仕事をようやく片付けてベランダで煙草を吸っていると、大通りのほうから男女が言い争う声が聞こえてきた。深夜2時。わざわ痴話喧嘩を見に行くつもりはなかったけれど、連休中は昼過ぎまで寝ていたせいで今から布団…

ベーコンを焼いて火災警報が鳴る

テレビがずっと点いている。朝、布団を出るよりも早くリモコンのボタンを押した。目の端でチカチカ光る。毎日通っていた駅前のエクセルシオールは4月1日から全席禁煙になったのでたぶんもう行かない。 メールボックスを開くと仕事関係の連絡のほかにイベント…

有馬温泉で暮らしませんか

2年前の夏に好きな人ができた。その時期は別れたばかりの元カノと「これで最後にしよう」と会うたびに言い合っていて、もしかしたら復縁できるかもと思っていた矢先に彼女はアルバイト先の同僚の彼氏とヨリを戻してLINEをブロックされた。あの、ワンポイント…

正月、アイドル、石和温泉

17時、池袋駅西口からラブホテル街のライブハウスへ向かう。インディーズ系アイドルの合同ライブを観に行く。ルミネのエスカレーターの前で友人と待ち合わせ。駅前のイタリアントマトで、カボチャのケーキとピーチティーを注文する。大学1年生のころ、イタリ…

2019年の書籍、漫画、テレビ、ラジオ、演劇など

会社を辞めてから3か月が経った。フリーになってから依頼のあった仕事をほぼ全部受けたこともあり「睡眠時間は削らないほうがいい」ということを身をもって思い知った。先月は夢の中でも原稿を書いていた。 日記を書くのも3か月ぶりになってしまった。11月の…

2019年9月23日

9月13日、28歳になった。当日は会社の数人と飲みに出かけた。 28歳時点の自分は想像していたよりもずいぶんマシ、というか数年前の予想と比べるとなかなか上出来だ。大学4年次と大学院の2年次、二度にわたって新卒の就職活動を投げ出しているので「仕事をし…

2019年9月3日

柄の折れたビニール傘が植え込みに捨てられていた。透明のしゃぼん玉が宙に舞い、ふわふわと風に乗って飛ぶ。 目の前まで飛んできたそれを人さし指で払うと、ハーフパンツの裾に液体が落ちてちいさな染みになった。 埼玉県に引っ越してから、夏になると実家…

2019年8月17日

アパートの前のコンクリートに打ち水の跡が残っている。路地の曲がり角でセミがひっくり返って死んでいた。 日曜の昼、34℃。商店街の外れの定食屋でとんかつ定食を注文すると、厨房の中から「20分くらいかかるけど大丈夫ですか?」とぶっきらぼうな声が飛ん…

2019年8月1日

エドワード・ヤン監督『牯嶺街少年殺人事件』がNetflixで配信が始まった。すごい。学生のときにNetflixがあったら授業に出ずにずっと自宅で見ていたと思う。今の学生がうらやましい。当時は新宿や中野のTSUTAYAでひたすら映画を漁っていたのだけど、そういう…

2019年7月7日

梅雨入りと同時に激しく体調を崩し、5日ほど寝込んでいた。昔からとにかく低気圧に弱いのだけど、年々ひどくなっている気がする。梅雨は本当にだめだ。高熱を出したせいで久々に人と会う予定がすべてキャンセルになり、いよいよ孤独な気分に。50になる前にあ…

2019年6月18日

球体Sとの祝福すべきコミュニケーション ぬめった肌がギラギラと鈍い光を放ち、死んだ魚のような臭いがするがおそらくそれは魚ではない。その大きな丸い塊はずっと小刻み震えていて、そのたびに濁った液体がポタポタと落ちる。無造作に伸びた緑色の体毛は沼…

2019年5月26日

「でも……でも私、イケメンじゃないとダメなの!」 (うめざわしゅん『善き人のためのクシーノ』) 「非リア充」による独裁国家が、ルッキズムの撤廃のためにイケメンと美女の優位性をとことん弾圧する。自由恋愛が禁じられたディストピア。体制側でリア充の…

2019年4月21日

商店街の角の喫茶店が潰れた。先月まで普通に営業していたのだけど、3日前に前を通ったら店内の什器やインテリアがすべて運び出されていて、ガラスの向こうにコンクリートむき出しの空間が広がっていた。笹塚には深夜に開いている飲食店が少ない。仕事帰りの…

2019年3月26日

ソフィ・カル展「Parce que(なぜなら)」(ギャラリー小柳)。木箱にかけられた布に刺繍が施され、めくると写真が見える仕掛けになっている。「テキスト→写真」という順序が明確に規定される形式で、それは彼女が写真を撮る行為とそのままリンクしている。…

2019年3月13日

土曜、明け方、救急車の音で目がさめる。遠い昔の夢を見ていた。昨日の夜に飲んだペットボトルのサイダーに口をつけると、すっかり炭酸が抜けていて、ベッタリと甘い匂いが鼻をつく。隣の部屋から朝のニュース番組の音がする。資源ゴミの回収日。カーテンの…

2019年2月28日

駅にたくさん人がいる。京王線に乗って中吊り広告を見上げる。おれは政治家の顔をあまり知らない。メガネをかけた男子高校生が英単語ノートを開いている。隣にいる背の低い女子高校生が、LINEで友達にメッセージを送っている。受験の日の朝。2010年の2月、早…

2019年1月30日

年明けから体調を崩して死にかけのカエルのような声をあげてソファーの上で寝返りを打っているところにアパートの更新の通知が届く。12万6000円。わずかばかりの貯金が底をつき、ひとまず契約してからほとんど観ていなかったhuluを解約する。焼け石に水。重…

2018年12月31日

「#Me Too」を発端とするジェンダーに関する問題や不倫や性風俗といった性愛の倫理にまつわる議論など、男性として恋愛やセックスにうつつを抜かして生きてきた身としては立ち止まって考えざるをえない場面が多かった。インターネットやSNSの議論を眺めてい…

2018年12月3日

猛烈に模様替えをしたくなる。新しい服が欲しくなる。毎年、特にこの季節は。隙間だらけのアパートに風が入ってくるせいか、とにかく部屋が凍えるほど寒い。3年ほど使ってボロボロになったブランケットを捨てた。裾が擦り切れたダウンジャケットも捨てた。新…

2018年8月19日

8月に入ってから、幡ヶ谷のプールに通っている。健康のためとかそういうことではなく、アパートの部屋が暑すぎるから。暑がりのくせにクーラーの冷気が苦手なので、プールで身体を冷やしている。泳いでいるのはほとんどが高齢者か親子連れで、20代の男性が水…

2018年3月28日

2018年1月から3月 観たものの記録 1月3日(水)/展覧会「アジェのインスピレーション ひきつがれる精神」展(東京都写真美術館)フランスの写真家アジェと、アジェの影響を受けた写真家たちの展覧会。アジェの《廃品回収業者たちの小屋》、《ショワジー館、…

2017年12月31日

2017年、ままならない生活に追われる日々のなかで心に残った作品たちです。基本的に今年の新作から。年末年始にお暇な方はぜひ手にとって触れてみてください。 ■マンガ 2017年の5作品1.新田章『恋のツキ』2.鳥飼茜『地獄のガールフレンド』3.ねむようこ『ボ…