2021年のあらゆるベスト50

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5年間住んだ笹塚のアパートを出て、東京オリンピックからひたすら目を背け、高山一実乃木坂46卒業に涙した2021年。ライター業と並行して編集業も増え、仕事でもプライベートでも多くの人と関わり、会話を重ねた。

ただ、休みもほとんどない1年間だった。この生活はあまりに持続性がなさすぎるので、このままだと持ってあと3年だろう。来年は週1回の休養と適度な運動、健康な食生活を目標にします。お酒もしばらくやめます。私は中島らもにはなれなかった。

 

仕事についてはnoteに別途まとめたので、よろしければぜひ。

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もはやなんのランキングかわかりませんが、2021年に観たなかで印象的だった映像や本を50ほど上げて1年の締めくくりとします。音楽はちょっと覚えていませんでした。

今年は時間的にも空間的にも、スケールの大きい物語に惹かれるようになった気がします。コロナ禍での生活がミニマムになりすぎているせいで、私のあまりに小さな想像力を遠くへ飛ばしてくれるような作品が強く印象に残りました。

 

それでは、よいお年をお過ごしください。

 

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50.安本彩花『彩 aya』

今年買った写真集の中でも一番よかった。私立恵比寿中学の「イヤフォン・ライオット」も仕事に追われていた今夏のアンセムでした。

 

49.真造圭伍『ひらやすみ』

住む場所によって人生の時間感覚も変わる。6畳のアパートでの殺気立った暮らしを思い返すと、今の生活はずいぶん穏やかなものだ。

 

48.迷子『プリンタニア・ニッポン』

かわいい生き物を飼うマンガはだいたい面白い。

 

47.『さようなら花鳥風月ライブ』(神保町よしもと漫才劇場


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ニューヨークが仕組んだゲリラ戦のような雰囲気の中、令和ロマン、ナイチンゲールダンスといった神保町のスターがブレイクの狼煙を上げた。

 

46.岩倉文也『終わりつづけるぼくらのための』

「鍵」という掌編が強く印象に残った。『少女終末旅行』のつくみずによる装画も素晴らしい。

 

45.此元和津也『オッドタクシー』


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ダイアンが好きになりました。

 

44.男性ブランコ『てんどん記』


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男性ブランコの浦井さんはいよいよイッセー尾形になってしまうのではないか。

 

43.ねむようこ『こっち向いてよ向井くん』

ねむようこ先生の恋愛マンガに外れなし。ねむようこ先生とパンサー・向井慧の対談もよかった。

 

42.首藤凛『ひらいて』


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直情的な主人公の行動に少しついていけない部分もありましたが、首藤監督の映像美と大森靖子のエンディング曲で感情を持って行かれてしまった。

 

41.加賀翔『おおあんごう』

笑い話に変えることでつらい現実を受け入れる、生き延びるための少年の葛藤と救いの物語。

 

40.藤本タツキ『ルックバック』

SNSで繰り広げられた議論も含めて今年を代表する作品でした。結論は保留。

 

39.山本文緒『ばにらさま』

山本文緒さんが亡くなったショックを抱えつつ、表題作「ばにらさま」の切れ味に震えました。

 

38.金子茂樹『コントが始まる』(日本テレビ


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世代を代表する3人の名優たちはもちろん、有村架純はどんな作品に出てきても目を引くような存在感がある。

 

37.インベカヲリ☆『家族不適応殺 新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像』

今年のノンフィクション作品の中でも圧倒的な説得力があったのではないでしょうか。

 

36.ロングコートダディ『じごくトニック』

M-1グランプリ2021』でも見せた「死後の世界」への想像力が溢れ出していた。堂前さんは森絵都の『カラフル』を読んだのだろうか。

 

35.赤坂アカ×横槍メンゴ『推しの子』

アイドル文化をめぐるさまざまな問題について考えた1年だった。『推しの子』はひとつの補助線になると思う。

 

34.『爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)8月17日放送回

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メンタリストDaiGoの炎上を受けて、太田さんの「『ドン・キホーテ』っていう作品を見て、こういう作品に俺は救われると思った」という話。

 

33.三島芳治『児玉まりあ文学集成』

繊細な台詞まわし、美しい言葉の応酬に胸を打たれました。

 

32.滝口悠生『長い一日』

出張先で読み終わったあとに泣いていました。

 

31.細田守『竜とそばかすの姫』


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中村佳穂とmillennium parade の音楽が圧巻。「名前を晒す」という行為が厳罰になり得るSNS社会のディストピアぶりの描き方もよかったです。

 

30.『さらば青春の光Official Youtube Channel』(YouTube)「【ドッキリ】内容伝えず花田優一を呼び出して抜き打ちファーストテイクを仕掛ける!果たして自分の曲を聴き分けられるか!?」


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すべての企画がハイクオリティなさらばのYouTubeですが、そのなかでも花田優一シリーズは1秒も無駄な時間がなく笑えます。

 

29.押見修造『おかえりアリス』

ページをめくるたびに胸が締め付けられる。押見修造の最高傑作になるのでは。

 

28. 『ジェラードンチャンネル』(YouTube)「こっそりジャニーズに履歴書送ったら、母親が言いふらしてて終わった【ジェラードン】」


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「空気の読めないお母さん」も突き抜けるとサイコホラーになるということがわかる。

 

27.日向坂46『ひなくり2021』


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ライブを重ねるごとに演出のアイデアが良い方向に転がっています。今年もありがとう、日向坂46。

 

26.『ハライチのターン!』(TBSラジオ)ー『M-1グランプリ』振り返り

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M-1グランプリ』の感動裏話もさすがに食傷気味ですが、この岩井さんの語りはリアルタイムで聴けて本当によかったです。

 

25.ロロ いつ高シリーズファイナル『ほつれる水面で縫われたぐるみ』『とぶ』

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ここ数年の小劇場シーンの人気を牽引してきた学園シリーズの完結編。「いつ高」の次に、誰が舞台で青春を描くのだろうか。

 

24.『乃木坂配信中』(YouTube)ー鈴木絢音が初恋の人を探す旅!


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鈴木絢音の初恋ロードムービー。今年5月にスタートした乃木坂46YouTube『乃木坂配信中』からついに最高傑作が出ました。

 

23.坂元裕二『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ


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松田龍平岡田将生も角ちゃんも大好きになりました。観終わったあともキャラクターに会いたくなるドラマはいいドラマですね。

 

22.和久井健『東京卍リベンジャーズ』

中学生のころに読んでいたらヤンキーかぶれになるところだった。あぶなかった。

 

21.ペス山ポピー『女の体をゆるすまで』

過去に助けられなかったことや自分がやってしまったことなどを思い出して呼吸が詰まるほど苦しくなりました。自分の中で及び腰だったフェミニズムへのスタンスが明確化した作品でもあります。

 

20.小泉明郎《AntiDream #2 (聖火儀礼バージョン)》


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コロナ禍のオリンピックに対するカウンターとして非常に強烈なビデオアートだった。

 

19.中川龍太郎『息をひそめて』(Huluオリジナル)


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夏帆世代の一員として夏帆が出ている作品はほぼすべて観ているのですが、近年では「架空OL日記」と並ぶハマり役だったのではないでしょうか。

 

18.「空気階段の踊り場」(TBSラジオ)-俺たちの平和寮

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鈴木もぐらは青春物語の語り手として卓越している。細部の記憶力も抜群なので、活弁士として新たなジャンルを開拓してほしい。

 

17.『PUI PUIモルカー』(テレビ東京


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モルカー版の『ラ・ラ・ランド』みたいな回で朝から深くトリップできました。

 

16.熊倉献『ブランクスペース』

感情を具体化する能力を持った少女の疾走感あふれるSF作品。社会の距離のとり方が絶妙。

 

15.『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』(TBSラジオ)-大久保さん焼肉チャンス 

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大久保佳代子杯」で優勝した川北は、優勝特典「大久保さんと焼肉に行ける権」「3万円」の2択で3万円を選択したが……。

 

14.現代思想 2021年11月号 特集=ルッキズムを考える

どの寄稿も素晴らしかったが、永山則夫らを引用した高島鈴「都市の骨を拾え」が傑出していました。

 

13.『恋です! ヤンキー君と白杖ガール』(日本テレビ


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互いに生き延びる場所を探しながら惹かれ合い、ゆっくりと愛が育まれていく描写が美しい。

 

12.朝井リョウ『正欲』

正欲

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「自分が想像できる""多様性""だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」目を背けたくなる現実から人間の実存を問いかける作品でした。

 

11.土井裕泰『花束みたいな恋をした』


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賛否両論ありましたが私は正面から食らってしまいました。京王線沿線で20代のすべてを過ごしてしまったので。

 

10.『乃木坂工事中』(YouTube)ー高山手作りかくれんぼ


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乃木坂46として10年間を過ごした高山一実の思い出のグッズをたよりに、スタジオに隠れた本人を探す冒険譚。最後に居場所を突き止めるシーンでは涙が止まりませんでした。

 

9.ダウ90000『フローリングならでは』


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完全にブレイクを果たしたダウ90000の旗揚げ公演、ハイテンポかつミニマムな会話劇が結実するラストが素晴らしい。

 

8.今泉力哉『街の上で』


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学生時代に自主映画を撮ったり出たりしていた日々を懐かしく振り返りました。

 

7.夏目真悟『Sonny Boy』


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自分の未来を自分で選び取る、という不条理な社会への抗い方を鮮やかな提示したアニメでした。

 

6.ヤマシタトモコ『違国日記』

主張すべきときに限って言葉が出ない私の背中を押してくれた作品です。

 

5.乃木坂46 『真夏の全国ツアー2021』


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東京ドームでのツアーファイナルで、高山さんの卒業をようやく受け入れることができました。高山さんがこの世界のどこかで生きているというおかげで、明日から私も生きていけます。

 

4.濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』


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西島秀俊もさることながら岡田将生がちょっとすごすぎました。遅ればせながらようやく年末に観たのでいろんな人と話したい気分です。

 

3.玉田企画『サマー』

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苦労して積み上げた仕事もいびつな人間関係もめちゃくちゃになった物語のラスト、「またやり直せばええやん」という台詞にさまざまな場面で救われた一年でした。またやり直せばいい。

 

2.庵野秀明『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』


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中学時代に同じ塾に通っていた親友から勧められてTSUTAYAでアニメシリーズを借りてから15年、どうにか私も大人になりました。

 

1.空気階段『anna』


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社会構造からはみ出した人、他者との距離を上手にとれない人に寄り添ってきた空気階段が描いた恋の物語。もうひとつのライフ・イズ・ビューティフル空気階段さん、KOC優勝おめでとうございました。