2019年8月1日

f:id:melrn:20190618211125j:plain

 

 エドワード・ヤン監督『牯嶺街少年殺人事件』がNetflixで配信が始まった。すごい。学生のときにNetflixがあったら授業に出ずにずっと自宅で見ていたと思う。今の学生がうらやましい。当時は新宿や中野のTSUTAYAでひたすら映画を漁っていたのだけど、そういう学生も今はもうほとんどいないのかもしれない。Twitterで検索してみると、数年前まではみんな新宿のTSUTAYAの擦り切れたVHSでエドワード・ヤンの作品を観ていたようだ。おれもそのひとりだ。あれ画面がザラザラしすぎてて夜のシーンだと何が映ってるのか全然わかんないんだよな。

 

 

 7月末、幡ヶ谷の商店街の夏祭りでプロレス観戦。プロレスにめちゃくちゃ詳しい編集者のさとうさんの解説つき。初めて間近で見るプロレスラーたちは筋骨隆々で運動能力がとても高く、なによりも華があった。商店街のイベントなので子供たちが大勢いて、「いけえ!」とか「にげろ!」とか叫んでいる。とても楽しい光景だった。今回のイベントはどちらかといえばショー寄りで(「ストロング」というらしい)、マイクパフォーマンスも盛り上がっていた。今度はデスマッチも見てみたい。

 地元の夏祭りに行く、というのは昔から少し憧れていた。実家が転勤族だったからどの土地にも帰属意識がない。就職して給料をもらうようになって、初めて自分で選んだ街がここだった。すごく好きな街だ。新宿にも渋谷にもすぐに行けるけど、どこか下町っぽい雰囲気も残っていて、よそ者でも溶け込みやすい。近くに会社の先輩や仕事関係の知り合いがたくさん住んでいるのも楽しい。仕事とプライベートをきっちり分けたい人も多いのだろうだけど、おれは全然そんなことなくて、休みの日もだいたい仕事でお世話になっている人たちに遊んでもらっている。能力的にはわからないけど、少なくとも性格的にはこういう仕事が向いているんだろうな、と思う。今はそれでいい。

 

 早稲田から終電で中野駅まで帰り、笹塚まで30分かけて歩く道のりはタイムフリーで『オードリーのオールナイトニッポン』を聴きながら。春日のハネムーンのトークはただただ幸せそうで、「奥さんからなんて呼ばれてるの?」「やっぱりお尻触ったりするもんなの?」と中学生男子のような質問をぶつける若林も少しだけ幸せそうだった。翌週、春日が結婚指輪をしているのを見つけて「それやめろ!」と叫ぶ若林にもめちゃくちゃ笑った。つくづく形式を大切にする人なんだな、春日。

 オードリーの番組本の仕事が4月に発売された武道館編で有終の美(?)を飾り、それ以来どこか寂しさを感じつつ毎週聴いている。若林が「武道館が終わってから目標が見つからない」と常々ラジオで話しているけれど、おれもしばらくは余韻に浸っていた。おれは毎号数ページしか担当していなかったけれど、ほぼすべての編集作業をひとりでやっていた先輩編集者の方はもっと燃え尽きているらしい。

 途中のファミリーマートスーパードライを買って、飲みながら歩く。深夜の中野通りはほとんど車も通らない。生ぬるく湿った風でカンボジアの空気を思い出す。クリスマスのカンボジアは今日の東京と同じくらい暑かった。取材を終えてローカルの店で飲んだアンコールビールがおいしかった。

 悲しい歴史も改めて目の当たりにした。シェムリアップで同行してくれたガイドさんからは、ポル・ポト時代の話を聞いた。

 

 またいつか行きたいと思う。これは仕事で昨年行ったときの記事です。

www.ana.co.jp

  

 日曜、家に着く頃には『日向坂で会いましょう』の放送が始まっていた。毎週の楽しみにしている。さっきまでイヤホン越しに聴いていたオードリーとは違う、20歳以上も年の離れたメンバーを優しく見守るおじさんふたり。もはや誰目線なのかわからないが、ふたりが楽しそうに仕事をしていてうれしい。

 

 春日のおごりバーベキューの回では、終始ふざけ倒して笑い声をあげるメンバーたちの姿に思わず泣きそうになった。上村ひなのさんのカート突撃、東村芽依さんのいちご狩りも。なんて素敵な映像なんだ……とテレビの前で天を仰いだ。おれが死ぬときの走馬灯でこのBBQ回をずっとループ再生してほしい。ヒット祈願のドラゴンボートの回では、疲労が溜まっていちばんしんどいタイミングで『ドレミソラシド』を全員で歌う姿に号泣。

 

 3月から少しずつ見はじめてようやくメンバー全員の顔と名前が一致するようになった。「おすし」こと金村美玖さんが最高にかわいくてイチオシなのですが、よくよく見てみると「今まで好きになったすべての女性を足して平均値をとった顔」だということに気づいた。つらくなった。大学時代に好きだった人にも似てるし、元カノにも似ているし、昨年仕事で一緒になって好きになった人にも似ている。どこかにそういうツボがあるのだろう。

 本当に真面目な人なのだと思う。バラエティにも本当はあまり向いていないように見えるけど、大丈夫だろうか。

 

 セクシー対決の回では、丹生ちゃんの「ゆたんぽ!」に心を打たれた。寝る前にYouTubeで何度も再生してしまう。丸メガネがよく似合う。「ぽ!」が最高にかわいい。潮紗理奈さんの「ハムカツ」、宮田愛萌さんの「タンクローリー」にもグッときた。でもなにより金村美玖さんの「初ガツオ」だ。

 

 ケガを抱えながら頑張る姿とか、トラブルやスキャンダルを乗り越えて成長する姿なんて見たくない。「一生懸命がんばるアイドル」を応援したいわけではない。無理な願いだとはわかっているけれど、ただただメンバー全員が仲良く楽しくずっと幸せであってほしいと祈る。ただ幸せそうであるというのは、それだけでとても尊いことだ。現実の世界のニュースはつらくてどうしようもないことばかりだから。心の底から幸せそうなやつなんてどこにもいない。もちろん彼女たちは現実の同じ世界に生きていて、その願いをメディアの向こう側にいるアイドルに仮託するのは残酷なことなのかもしれないけれど、それでもおれは祈っている。10年後の彼女たちにとって、笑顔で振り返ることのできる素敵な思い出になりますよう。

 

 大学1年生のころ、早見あかりが脱退する間際のももいろクローバーと出会い、そこから2年ほどアイドルに熱狂した。大学生活の支えだった。ももクロが出る番組はすべて観たし、CDもDVDも番組関連本も写真集もすべて買った。ライブに通うために日雇いのバイトを掛け持ちしていた。なかでもあーりんが特別に好きだった(今でも好きだ)。アイドルグループのなかでアイドルキャラを演じる大胆さと賢さ。スッキリした端正な顔だちと、歌うときに語尾がキュッと上がる甘い声。ライブには毎回ピンクのTシャツを着て、声を枯らしてピンクのペンライトを振った。2011年のさいたまスーパーアリーナでのクリスマスライブでは、ゴンドラに乗ったあーりんが目の前を通りすぎるときに、一瞬だけこちらに手を振ってくれた。忘れられない思い出。

 2012年の年明けごろからテレビのバラエティにも頻繁に出演するようになり、ライブのチケットも取りづらくなっていった。おれは大学2年生も終わりを迎え、友達ができたり恋愛をしたり勉強が忙しくなったりしたこともあって、少しずつアイドルへの情熱が冷めていった。

 それから8年経って、再び当時の熱のようなものを少しずつ思い出している。日向坂46の写真集を買うのが今のいちばんの楽しみだ。iPhineの待ち受けを潮紗理奈さんに設定した。金村美玖さんだと恥ずかしくて画面を見るたびに照れてしまうからだ。

 

 おれは来月で28歳になる。

 

www.youtube.com